briefeannatsuの日記

読書メモ

『まっぷたつの子爵』の日々1

まっぷたつの子爵 イタロ・カルヴィーノ 河島英昭 訳私にとって4冊めの、晶文社「文学のおくりもの」。 今までに読んだ、『ひとつのポケットから出た話』『ぼくはだれだ』『コニーアイランド物語』、どれも私の内面の青い部分に響く、心近しい友だちのような本…

桃子さんとの日々 終わり

石井桃子コレクションⅤ エッセイ集 石井桃子 桃子さんとの日々は、まったくもって不似合いな、ネパール食堂のテーブルのうえで幕をおろしました。元々持っていた夢を叶えたというかたちではなく、目の前の縁のあることに、ただただ取り組んで来た人という気…

桃子さんとの日々4

石井桃子コレクションⅤ エッセイ集 石井桃子「あるとき、私は偶然、ラフカディオ・ハーンが、昔、帝大でした講義を読んで、衝撃といってもいいほどの感銘をうけた。それは、ハーンが、アイスランドの伝説や北欧の近代作家の文章について講じた箇所であった。」「…

桃子さんとの日々3

石井桃子コレクションⅤ エッセイ集 石井桃子桃子さんの友だち、マサチューセッツに住む、「おっとりした」中学生ビル。 「お金をためて、ほしいものを買おうと思いきめ」、「あちこちのコーヒーの問屋に手紙を書」き、祖母に借金してコーヒー豆を仕入れ、「学校から…

桃子さんとの日々2

石井桃子コレクションⅤ エッセイ集 石井桃子「私たちおとなのなかにある、ある気取りが、文章をなよなよさせたり、すてきっぽくさせたり、いかめしくさせたりして、むずかしくしていることは、たしかである。」気取っちゃってますね、私はたしかに。 素直に書…

銀紙と釘

先々週末、教育テレビで、イ・ジュンソプという画家を初めて知った。 銀紙に釘で描いた小さな絵たちは、私の頭の中の、ロベール・クートラスのガードたちや、ドナルド・エヴァンスの切手たちと、同じ場所に整理された。 離れて暮らす妻に送った手紙の、宛名…

桃子さんとの日々1

石井桃子コレクションⅤ エッセイ集 石井桃子「ある日、そのころ食事ともいえない食事のあと片づけをしながら、流しの上の窓から外をながめると、木々はみどりで、みどりをすかして見る空がほんとうに美しかった。そのとき、私は、自分のからだが、木々と私の…

芽キャベツと甘栗のサラダ

『イギリスの家庭料理』 砂古珠緒芽キャベツ、天津甘栗、スライスアーモンド、 ゴールデンシロップ、バター、塩、ナツメグ。こっくりした甘さと、しょっぱさ、芽キャベツの苦さ。 ボールに山盛りを抱え、大きなスプーンでもぐもぐ食べたくなる美味しさでした…

『ミレナへの手紙』の日々は終わったのでした!

『ミレナへの手紙』 カフカ 池内紀訳他人の恋文を鬱々読む日々はもう終わり。 今朝、布団のなかで、静かに幕を閉じたのです。 ミレナが「ナーロドニー・リスティ」に寄稿した「かまどの悪魔」。 それを受けてカフカが書いた天使とユダヤの対話。(引用しようと思っ…

蓮根と白味噌のポタージュ

『POTAGEー野菜たっぷり家族のスープ』HORO Kitchen蓮根、長ネギ、生姜、 昆布と干し椎茸のだし、白味噌。おかわりは玄米ご飯にかけて食べた。 麦飯にも合いそう。

ロシア兵のスープ

『POTAGEー野菜たっぷり家族のスープ』 HORO Kitchenこの料理本の著者の曾祖父が、満州でロシア兵に教わったという、まるごとの馬鈴薯と玉葱とコンビーフの、塩味のスープ。 おととい作って、昨日の朝食べた。 給食っぽい、懐かしい味がした。わたしの祖母の…

「野良犬に噛まれたと思って」

昨日の野良犬で思い出した。女友だちが、「いい人だけど、でも、ネ」と内心低く見ていた男性と、相合い傘をする状況になってしまった。後日、共通の知人にそのことを話した。もしかしたら、その男性と相合い傘なんて不本意、という気持ちが顔に出ていたのかも…

教室に野良犬が入って来た

小学何年生だったか。 朝、教室に着いて、ランドセルをロッカーに仕舞い、自席で学級文庫を読んでいた。 本の世界にすっかりのまれて、ふと気づいたら、周りがやけに静か。 目を上げると、誰もいない。 しまった! 窓の外、校庭では、既に全校朝礼が始まって…

セロリとりんごのポタージュ

『POTAGEー野菜たっぷり家族のスープ』 HORO Kitchen前々から作ってみたかったセロリとりんごのポタージュを作った。 セロリ、りんご、玉ねぎ、ローリエ。 生クリーム、塩胡椒。 ミキサーにかける直前、ローリエを取り出す作業にいちばん難儀した。 20分間…

『ミレナへの手紙』の日々8

『ミレナへの手紙』 カフカ 池内紀訳「ー今日はお伽噺をする気になれない。頭が駅のようで、列車が入ってきたり出ていったり、税関に人の列、国境監視官がぼくのビザに目を光らせている。このたびは問題なし。どうぞ。どうぞ。『結構です。駅から出てよろしい…

『ミレナへの手紙』の日々7

『ミレナへの手紙』 カフカ 池内紀訳「自分の存在によってのみ他人を救うことができる。ほかに方法はないということをね。ミレナはすでにその存在でもってぼくを救い、さらにほかのさまざまな手段で救済しようとしている。誰かが他人を溺死から救い出せば、そ…

『ミレナへの手紙』の日々6

『ミレナへの手紙』 カフカ 池内紀訳「厳密にいうと、ぼくたちはいつも同じことを書いている。きみは病気じゃないかとぼくがたずね、同じぐあいにきみがたずねる。ぼくは死にたいと願い、きみもそうだ。ぼくが切手を望むと、きみも望み、少年のようにきみの前…

『ミレナへの手紙』の日々5

『ミレナへの手紙』 カフカ 池内紀訳しつこくこれ。「といって愛しているのはきみではなく、きみによって与えられた自分の存在を愛している。」カフカはミレナの返事をいつも待ち望んでいる。 ミレナによって与えられる自分の存在は、彼女の返事が届かないと更…

『ミレナへの手紙』の日々4

『ミレナへの手紙』 カフカ 池内紀訳「といって愛しているのはきみではなく、きみによって与えられた自分の存在を愛している。」これを日記ではなく、読み手の決まった手紙に書くのですね。正直だけど、甘ったれた人だとも思う。

『ミレナへの手紙』の日々3

『ミレナへの手紙』 カフカ 池内紀訳1920年7月4日の手紙が好きと思った。寝返りの描写と駅で別れたあと新聞を読み、読むのを止め、プラットホームですわっているところ。「そのときプラットホームの風景は、これまで一度も見たことのない自然現象だった。陽光…

『ミレナへの手紙』の日々2

『ミレナへの手紙』 カフカ 池内紀訳「昨日、“それから”の一字をあなたの手紙で数えたら、とてもたくさんあった。わたしにどうして“それから”を、こんなにたくさん書けたりするのだろう」

『ミレナへの手紙』の日々1

『ミレナへの手紙』 カフカ 池内紀訳今のところ、「二日と一晩降りつづいた雨」以下、「日が短いです」以下、「いつになったら、でんぐり返った世界を」以下、あと、「(ミレナさん、助けてください!言葉以上のことをわかってください!)」以下、とかが好き。手紙は…

メリー・ゴウ・ラウンド

帰ってきたメアリー・ポピンズ P.L.トラヴァース 林容吉訳最終章で子ども達がメリー・ゴウ・ラウンドに乗っているシーンの描写が美しくて3度くらい繰返し読み、携帯電話のメモに書き写した。「(略)今夜こうして、ぐるぐるまわるメリー・ゴウ・ラウンドに乗っている…