briefeannatsuの日記

読書メモ

『ミレナへの手紙』の日々7

『ミレナへの手紙』
カフカ
池内紀

「自分の存在によってのみ他人を救うことができる。ほかに方法はないということをね。ミレナはすでにその存在でもってぼくを救い、さらにほかのさまざまな手段で救済しようとしている。誰かが他人を溺死から救い出せば、それはむろん偉大な行為だが、あとで救けた人に水泳教室の予約券を贈るとすると、どうなんだ?
 どうしてそんな安っぽいことをする。これまでと同じくその存在で、いつも用意のできている存在によって救おうとしないのだ。」

ファビアンのラストを思い浮かべた。―2016年10月4日記―