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briefeannatsuの日記

読書メモ

『お勝手太平記』を読みました。

『お勝手太平記
金井美恵子

アキコさんという60代の女性が、友人宛に書いた手紙を並べた小説です。

手紙でも、メールでも、実際に会っての会話でも、いちばん私が楽しく幸せに感じるのは、相手とちょっとした、ある感覚を共有できていると確信する瞬間です。その感覚が、一般的なものではなくて、その相手だからこそ共通して持つことのできる、偏ったものであればあるほど、楽しく幸せに感じます。

そういう相手を幾人も持つアキコさんはとても楽しそうです。

偏ってはいるけれど、自分にとっては面白い何かを共有できる誰かと、何らかの事情で別れ、寂しくなるのは、その誰かともう会えないということもありますが、自分の偏った、でも大事な何か(自分の一部分)を現出させる場を失い、やがてその大事な何かが薄れて行くことへの名残惜しさなのかもしれない、と思いました。

もう話せないお母さんにしか多分通じない冗談を思い付いたとき、他界したお祖母ちゃんにしか解ってもらえない可愛らしい小物を見つけたとき、音信不通の中学友だちに是非聞かせたい話題を拾ったとき、もう会えそうもない知人が教えてくれた映画を観て心が動いたとき、それらの思いを私はどこに飛ばせばよいのでしょうか? 

小説からだいぶと遠ざかったこと書いてしまいましたね。

アキコさんに鼻で笑われそう。