briefeannatsuの日記

読書メモ

『皮商売の冒険』を読みました。

『皮商売の冒険』
ディラン・トマス
北村太郎

10の短編から成る一冊。
店頭で拾い読みした段階で、あーこれきっと凄く好きになっちゃう、と思った。
キリスト教文化圏で育っていない私にとっては、通しで読むと言葉が頭に入って来ず、眠りこけて電車内で手から本を落としてしまったりもしたが、行きつ戻りつ辛抱強く読み進めるうち、あーこれ凄く好きだ!とほんとに思った。
夜のメリーゴーラウンド、民話のような暗い話、神秘的な性、田舎少年のスケッチ、未完の青春物語。
バラバラの作品たちのなかで、私が「あーこれ凄く好き」となったのは、最後の青春物語。
出発前夜に共に暮らしていた家族の所有物をこっそり破壊し、コンパートメントの便器に住所録を破り捨て(1人の女の子の連絡先だけ残して)、行き先も決めずにさすらうサミュエル・べネット。
ギネスビールの壜に突っ込んで抜けなくなった指は、作者が途中で投げ出したために1941年からずっとそのまま。