『居心地の悪い部屋』を読みました。
『居心地の悪い部屋』
岸本佐知子編訳
以下は私の勝手なメモ。
『ヘベは砂利を殺す』ブライアン・エヴンソン
まぶたを押さえながら読んだ。心地悪し。
『チャメトラ』ルイス・アルベルト・ウレア
メルヘン。心地悪くもきれいだと思った。
『あざ』アンナ・カヴァン
読み心地良かった。同姓の一人称は落ち着く。
『どう眠った?』ポール・グレノン
知識がないのでちゃんと楽しめなかったけど、これを好きだと言う人はいると思う。
『父、まばたきもせず』ブライアン・エヴンソン
なんか、やだ。居心地悪し。
『分身』リッキー・デュコーネイ
旦那に内緒というのが良い。
『オリエンテーション』ダニエル・オロズコ
上手い。
『潜水夫 ダイバー』ルイス・ロビンソン
嫌いな男性像。
『やあ!やってるかい!』
ラストが痛快。
『ささやき』レイ・ヴクサヴィッチ
引き込まれた。面白い筋の中に、出ていったパートナーへの未練がチラチラ覗くのも良い。
『ケーキ』ステイシー・レヴィーン
なんとなく乙女で好き。
『喜びと哀愁の野球トリビア・クイズ』ケン・カルファス
知識がなくてついて行けず。でも、なんとなくきれいに感じた。
『皮商売の冒険』を読みました。
10の短編から成る一冊。
店頭で拾い読みした段階で、あーこれきっと凄く好きになっちゃう、と思った。
キリスト教文化圏で育っていない私にとっては、通しで読むと言葉が頭に入って来ず、眠りこけて電車内で手から本を落としてしまったりもしたが、行きつ戻りつ辛抱強く読み進めるうち、あーこれ凄く好きだ!とほんとに思った。
夜のメリーゴーラウンド、民話のような暗い話、神秘的な性、田舎少年のスケッチ、未完の青春物語。
バラバラの作品たちのなかで、私が「あーこれ凄く好き」となったのは、最後の青春物語。
出発前夜に共に暮らしていた家族の所有物をこっそり破壊し、コンパートメントの便器に住所録を破り捨て(1人の女の子の連絡先だけ残して)、行き先も決めずにさすらうサミュエル・べネット。
ギネスビールの壜に突っ込んで抜けなくなった指は、作者が途中で投げ出したために1941年からずっとそのまま。
『オーバー・フェンス』を観ました。
『オーバー・フェンス』
山下敦弘 監督
夜の動物園で、シライワとサトシが心を通わせるシーン。何かの記事で読んで期待していたほど美しいとは感じなかったけど、恋人どうしの了解っていいもんだなーと思った。
とくべつ大胆な行動をとらなくても、ある時ふと、夢のような不思議な時間を過ごす機会がある。たとえその後交際にいたらなくても、相手にとっては取るに足らない出来事だったとしても、自分のいつもの生活には無かった、ふわふわした時間が、ある日突然訪れる。いまわのきわで思い返したいあんなことこんなこと。
映画としては、あともう一歩、ヒロインに踏み込んでくれれば、鈍い私でも楽しめたのに、と思った。
『雲をつかむ話』を読みました。
『雲をつかむ話』
多和田葉子
空中に浮かぶ言葉を掴んで、ひろげ、眺めて、放す。そんな小説だと思った。
人の意識とは、空中に張り巡らされた言葉の網目にさまよう虫みたいなもので、人生とは接続詞みたいなものだ、と聞いたことがある。何となくそれを思い出した。
これを読んでいた数日間、私の情緒はいつもより安定していた。著者の冷静な口調に共振していたのだろうと思っていたが、最後の頁でひっくり返ってしまった。私も長いあいだ風邪を引いているのかもしれない。
『ママゴト』を観ました。
プレミアムよるドラマ『ママゴト』
中国地方の架空の街でスナックを営むエイコという女性と、昔の仕事仲間であるシゲコと、その息子タイジとの関係を描いたドラマ。
エイコとシゲコが友情を育む過去の時間と、エイコとタイジが疑似親子のような「ママゴト」をする時間を並行して描くやりかたに引き込まれた。
方言(広島弁?)も感情がより生々しく感じられて魅力だった。
小さい人に「おばちゃーん」と、あんなになついてもらえたら、どんなに至福だろうか。
終わってしまってさびしい。タイジロスである。