briefeannatsuの日記

読書メモ

2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『溶ける街 透ける路』の日々 デュイスブルグ

溶ける街 透ける路 多和田葉子私は無精者のうえ言葉ができないから、海外旅行は空想だけで十分と思っている。 けど、この本のデュイスブルグのページを読んで、実際に訪れてみたくなった。「自然になど全く遠慮せずに工業化だけをめざしてきた土地が急に工業…

田舎町のドーナツ屋

今のところ、夕方の田舎町のドーナツ屋が、私の読書に一番向いた空間です。高校生たちはドーナツと水でお喋り。ご婦人二人連れはパート帰りか。背広の人は珈琲だけを注文した。楽しげに弾む音楽と、きびきび働く店員の声。年配の女性が貴重な一人の時間を過…

『溶ける街 透ける路』の日々 はじめ

溶ける街 透ける路 多和田葉子東京のホテルの一室で『ファビアン』を一息に読んで以来、都市というものに思いを馳せるようになった。図書館で、何か軽めのもの、日本人が書いたもの読もうと思い、エッセイコーナーを彷徨いた。好きな多和田葉子のもので未読…

『ファビアン』の日々 終わり

ファビアン あるモラリストの物語 エーリヒ・ケストナー 丘沢静也訳後半一気に読み終えました。 もう、こんな時間!(午前2時) 1931年のベルリン、2016年の東京にそっくりです。 作者が当初考えていたタイトルは『犬どもの前に行く』。 ドイツ語で「破滅する」…

『ファビアン』の日々5

ファビアン あるモラリストの物語 エーリヒ・ケストナー 丘沢静也訳読み始めたとき、主人公は道徳家でもなんでもない、殺伐とした都会に生きるクールな若者その1で、この小説は、世の中を斜めから見るような、洒落た皮肉のような物語だと思っていた。けど、…

『ファビアン』の日々4

ファビアン あるモラリストの物語 エーリヒ・ケストナー 丘沢静也訳第9章、第10章を読み、また戻って第9章、第10章を読んだ。 これから甘いものが欲しくなったら、これを読もう。「ロマンチック」という単語を、会話のなかで口にしたら、話し相手の顔が、…

『ファビアン』の日々3

ファビアン あるモラリストの物語 エーリヒ・ケストナー 丘沢静也訳「君、わかってるのかな? もちろんわかってるよね。でもさ、君は、実現可能な不完全な目標にむかって努力するかわりに、むしろ、到達不可能な完全な目標を空想してるんだよ。そっちのほうが…

『ファビアン』の日々2

ファビアン あるモラリストの物語 エーリヒ・ケストナー 丘沢静也訳新聞社の面々と飲んで、店を出たあと、「ほろ酔いと並んで歩きながら」、地球が回っていることを思い、ふと、ドーミエの版画を思い出すファビアンが好き。この部分を引用しかけたけど、止め。…

『ファビアン』の日々1

ファビアン あるモラリストの物語 エーリヒ・ケストナー 丘沢静也訳これはケストナーの大人向け小説。 入り口からもう面白い。 子供が入っていきやすい本は、 形容詞や描写が少なく、 絵が頭にすぐ浮かび、 登場人物の個性がはっきりしているもの、 と、桃子…

『点子ちゃんとアントン』の日々 終わり

点子ちゃんとアントン エーリヒ・ケストナー 池田香代子訳日曜日の午前中、お布団の中で、足がだるくなって来ちゃったし、いい加減起きないと、と思いながら、あとがきについで奥付けを読み終えました。素晴らし!おしゃれ!今すぐ可愛らしい包装紙にくるんで…

『点子ちゃんとアントン』の日々2

点子ちゃんとアントン エーリヒ・ケストナー作 池田香代子訳この物語には、章ごとに、「立ち止まって考えたこと」という短い文章がついている。 作者が考える、人が生きてくために大切なあれこれがまとめられている。 私の好みでいうと、そういうの、要らない。…

『点子ちゃんとアントン』の日々1

点子ちゃんとアントン エーリヒ・ケストナー作 池田香代子訳実はこれがマイファーストケストナーです。 この世界が大好きです、まだ少し読んだだけで、もう既に。じゃがいもの塩ゆで、かき卵(スクランブルエッグのことでしょうか?)、それからハンバーグ。 私…