briefeannatsuの日記

読書メモ

『ミレナへの手紙』の日々8

『ミレナへの手紙』
カフカ
池内紀

「ー今日はお伽噺をする気になれない。頭が駅のようで、列車が入ってきたり出ていったり、税関に人の列、国境監視官がぼくのビザに目を光らせている。このたびは問題なし。どうぞ。どうぞ。『結構です。駅から出てよろしい』。『国境監視官さん、申し訳ないけど、ドアを開けてくれませんか。私は開けられない。弱っているのです。…ミレナが外で待っています』。『これは失礼』と彼が詫びる。『うっかりしていました』。それからドアがサッと開くー」