8月に生まれる子供
大島弓子
2年ほど前の今時分、映画を見たあと喫茶店で話し合う会に共に参加した名も知らぬ女性と、駅までの道とホームに電車が来るまでの僅かな時間お喋りした。
その時、話題に上ったのが大島弓子だった。
わたしは
わたしの王女様である
そして
その民である
という宣言ではじまる『8月に生まれる子供』を、その女性は特に好きだと言った。「すごい話だと思うの」。
家に帰って早速読み返した。ラストをどう受け止めればよいのか、わたしには難解だった。
2年振りに読み返しても、やっぱり難しい。
だけど、どういう訳か、元気づけられる。女性が言ったとおり、まことに「すごい話」だと感じた。