『お勝手太平記』を読みました。
アキコさんという60代の女性が、友人宛に書いた手紙を並べた小説です。
手紙でも、メールでも、実際に会っての会話でも、いちばん私が楽しく幸せに感じるのは、相手とちょっとした、ある感覚を共有できていると確信する瞬間です。その感覚が、一般的なものではなくて、その相手だからこそ共通して持つことのできる、偏ったものであればあるほど、楽しく幸せに感じます。
そういう相手を幾人も持つアキコさんはとても楽しそうです。
偏ってはいるけれど、自分にとっては面白い何かを共有できる誰かと、何らかの事情で別れ、寂しくなるのは、その誰かともう会えないということもありますが、自分の偏った、でも大事な何か(自分の一部分)を現出させる場を失い、やがてその大事な何かが薄れて行くことへの名残惜しさなのかもしれない、と思いました。
もう話せないお母さんにしか多分通じない冗談を思い付いたとき、他界したお祖母ちゃんにしか解ってもらえない可愛らしい小物を見つけたとき、音信不通の中学友だちに是非聞かせたい話題を拾ったとき、もう会えそうもない知人が教えてくれた映画を観て心が動いたとき、それらの思いを私はどこに飛ばせばよいのでしょうか?
小説からだいぶと遠ざかったこと書いてしまいましたね。
アキコさんに鼻で笑われそう。
『えほん七十二候』を読みました。
『えほん七十二候 はるなつあきふゆめぐるぐる』
白井明大作
くぼあやこ絵
小さい頃、眠る前に母からよく聞かされた母の子ども時代の話を思い出す。
音読すると気持ち良い。
『山とそば』を読みました。
『山とそば』
ほしよりこ著
登山の最中に蕎麦を食べる、趣味を極めたような本だとずっと思い込んでいて、私には関係ないと、ながらく手を出さないでいたが、図書館でパラパラめくってみたら全くそういう本ではなかった。
ごくごく普通の観光地巡りが淡々と綴られている。
観光旅行の、ゆったりとした空気が感じられて、読んでる間、ずっと爽やかでいられた。
ほしさんとお友だちになった気分。
この人好きだなあ。
『そういうことがずっと続く』を読みました。
小説『そういうことがずっと続く』
そして、
抽出に入っていた手紙
ほしよりこ作
この妻/母は大そう魅力的だと思った。
夫も息子も彼女に神秘を感じている。
うらやましい。
抽出の手紙は、口調は乱暴だけど、大そう頭の良い人の文章だと思った。
この彼女も良い。
うらやましい。