briefeannatsuの日記

読書メモ

桃子さんとの日々1

石井桃子コレクションⅤ エッセイ集
石井桃子

「ある日、そのころ食事ともいえない食事のあと片づけをしながら、流しの上の窓から外をながめると、木々はみどりで、みどりをすかして見る空がほんとうに美しかった。そのとき、私は、自分のからだが、木々と私のあいだの空気とおなじに透明になっていくような気もちになり、その透明なからだのなかの心臓から泉のようなものが、こんこんと流れだしているのに気づいた。私は、どのくらいかのあいだ、死んだひとや生きているひとたちをだいじにしなければという思いに打たれて立っていた。」

ずいぶん以前に背伸びして読んだ、ジョン・クーパー・ポウイスの『孤独の哲学』を思い出した。
当時も今も、なんとなくの理解しかできていないけど、桃子さんの、上記のような境地について書かれた本なのかもしれないと、ふと、思った。